スタッフ日記

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大切な形見

2013年11月17日

今日は、私の思い出の宝物を紹介します。

私がまだ幼い頃、母方のおじいちゃん、おばあちゃんの家に行くと、いつも楽しみにしている

事がありました。

それは、おじいちゃんが大切にしている刀、日本刀を見れる事でした。

家に着くと、「刀を見せて」といつも言っていたのを今でも覚えています。

もちろん触ることは、絶対に許されません。

「隆、危ないけん触ったらいけんのよー」とおばあちゃんからも言われてました。

おじいちゃんに刀を抜いてもらって、ずっと眺めていました。

子供ながらも、刀の美しさにのめり込んでいました。特に刃紋(刃の部分の模様)が綺麗で、

「すごいな~」「かっこいいな~」って見入っていました。

刀を眺めわくわくしている私に、おじいちゃんが刀について一つだけ教えてくれました。

「刀が好きなのは分かるけど、これだけは覚えておきなさい。刀は人を切り殺す為に作られた武器。

そんな人の命を奪う為の物が、綺麗でかっこいいはずがないんよ。

けど、刀は持つ人の心で変わるんよ。弱く、汚れた心で刀を使えば必ず人の命を奪う。強く、優しい綺麗な心で刀を使えば人の命を奪わず、自分の命を護る道具になるんよ。優しく、本当に強い人間はすぐに刀を抜いたりはせんのんよ。

「隆は、どっちの人間がかっこいいと思うかの?」

今、34歳になりましたが、年を重ねるごとにおじいちゃんの伝えたかった意味がよくわかります。

私が小5の時、おじいちゃんが癌で入院し何度かお見舞いに行ったのですが、

夏の夜、その日の事は忘れもしません。大雨、頭上真上で雷が鳴る荒れた日でした。

いつも通りのお見舞い。しかし、帰る間際におじいちゃんが、

「隆、おじいちゃんの刀、持って帰りなさい。」と。

その時、これがおじいちゃんとの最後なんだなとわかりました。

おじいちゃんのこの言葉を聞いて、みんなも泣いていました。

  

   それから数日後、学校に母が来ました。

担当者:武智 隆